「時間は誰にでも平等に与えられている」
よく耳にするこのフレーズですが、受験生にとっては少々耳の痛い表現かもしれません。
なぜなら、仮に1時間の勉強時間が平等に与えられていたとしても、取り組み方次第で実力のつき方が全く変わってしまうからです。
同じ1時間でも、集中して効率良く勉強できれば確実に力はつきますが、イマイチ集中しきれずにダラダラと勉強してしまっては、あまり意味がありませんよね。
限られた時間を最大限に活用して確実に学習効果を得るためには、一体どうすればよいのでしょうか?
その方法のひとつが、自分の体や脳の働きのリズムを意識することです。
やる気に溢れる時もあれば、眠気や空腹感を感じたりと、人間の体や脳の働きは1日の中でも多様に変化します。
そのため、ただやみくもに勉強するよりは、そのリズムに合わせて勉強の仕方を工夫することで、効率良く成果を上げることができるのです。
そこで今回は、受験勉強を効率良く進めていくために学習効果の上がる時間帯について解説していきます。
挑戦の「朝」
ぐっすりと眠って十分な睡眠をとってから起きた朝は、体の疲れも取れて頭もシャキッとしているものです。
この朝の時間帯こそが、実は受験生にとって最も大事にしたい勉強タイムです。
目が覚めて、しっかりと太陽の光を浴びて体を目覚めさせたら、登校する時間までの一定時間、机に向かってみることをお薦めします。
朝は脳の働きも良く勉強がはかどるということに加え、登校までに時間が限られているため、適度に自分にプレッシャーをかけることができ集中することもできます。
何より「早起きして勉強することができた!」という小さな達成感の積み重ねは、自分への自信へと繋がっていきますよ。
【朝勉強の方法】
机に向かったら、まずは準備体操がわりに1日の学習予定をサッと確認しましょう。
「今日は寝るまでにココまで勉強を終わらせよう」と大まかな目標があれば、1日に見通しを持って過ごすことができます。
そして、前夜までに学習したことや覚えたことを復習したり、音読をしてみたり、計算問題等の単純な問題を手始めに解いたりしてまずは「勉強モード」を作るのもオススメです。
「勉強モード」ができたら、そこからは集中タイム!
苦手科目にじっくり取り組んだり、思考力が問われるような問題演習やアウトプット型の学習に取り組んだりしてみましょう。
小論文等、考えながら構成を組み立てるようなことを行うのにもピッタリです。
変化の「昼」
誰もが昼食後はどうしても眠くなってしまうもの。
学校でも、5時間目の授業になるとどうしても睡魔が……!という人も少なくないのではないでしょうか?
この時間帯になると眠くなったり集中力が低下してしまうことは、体のメカニズム上、やむを得ないことなのです。
休日や長期休み等、自宅で学習している場合は仮眠をとることをお薦めします。
ボーっとしながら勉強を続けるよりも、思い切って睡眠に時間を割いてリフレッシュした方がその後にずっと集中して取り組むことができるからです。
ただし、本格的に昼寝をしてしまっては逆効果。
15分程度の、あくまでも「仮眠」にとどめましょう!
横になるとぐっすり眠ってしまいそうな場合は、机に伏せて仮眠をとる形が良いようです。
脳をリフレッシュさせてやる気もアップしている状態であれば、長文読解等、少し難易度が高いと感じるような問題にチャレンジするのもひとつの手。
夕方にかけて少しずつお腹が空いてくると脳はさらに活性化していきますので、ガシガシ問題を解いていくのにも丁度良いでしょう。
仮眠をとることが難しい場合は、眠気との戦いになってしまうかもしれません。
その場合は、少し工夫が必要です。
単調な動きで体を動かしたり散歩をしながら何かを覚えてみたり、時間を短く区切って「制限時間内に何問解く!」と決めてみるなどして、眠気が覚める工夫をしてみましょう。
この時間帯は自分が楽しい・好きだと思える教科の勉強をする時間に充ててみるようにすると前向きに取り組めるのではないでしょうか。
リラックスの「夜」
何といっても、夜は体も脳も疲れを感じる時間帯。
そのため、思考力が求められるような勉強には向いていません。
いわゆる「頭が働かない」状態の夜は、ノートをまとめたり暗記をしたりすることに適しています。
脳は睡眠中に学んだ知識を整理・定着させるといわれているため、夜寝る前にリラックスした状態で自分が勉強した内容を見直すことこそ、まさにうってつけなのです。
また、夜寝る前の時間に難解な問題を解いたり過去問に挑戦するなどして集中しすぎてしまうと、興奮状態になりなかなか寝つけなくなったり睡眠の質が悪くなったりすることも。
毎日の勉強をできるだけ効率良く進めていくには、やはり朝型の生活をみすえて質の高い睡眠を十分に取ることを優先させると良いでしょう。
その点では、夜寝る直前は「受験勉強」というよりは学習している内容に関連のある漫画や本をゆったりと読む、なんていうのも理想的なのです。
規則正しい生活=合格への近道かも!?
朝型が良いと分かってはいても、早起きが苦手な人もいますし、なかなか予定通りに起きることができないことも多いですよね。
そんな時は、朝型にシフトするのが難しくても、できるだけ「規則正しく」一日のペース配分を作っていくことを意識して生活してみるだけでも効果はあります。
そして、朝起きて軽く体をストレッチするだけでも構いませんので、①適度な運動をする、②3食の食事はしっかり食べる(特に朝食を抜かない!)、③夜更かしはしないようにする等の基本的なことを心掛けるだけでも脳や体のリズムは少なからず活性化されるはずです。
あくまでも無理は禁物。
体調を崩さず自分のペースで長い受験生生活を乗り切るためにも、学習時間帯を意識しながら効率良く勉強を進めていけると良いですね。
効率の良い学習や記憶の仕方、知識の定着法等を科学的に解説している書籍もありますので、ぜひ参考にしながら最適な学習時間帯に当てはめて活用してみて下さいね!
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使える脳の鍛え方 成功する学習の科学
ピーター・ブラウン,ヘンリー・ローディガー,マーク・マクダニエル(著)/依田卓巳(訳) NTT出版
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